あなたの歯にもあるかも…歯のヒビの話|新富町駅2番出口徒歩3分・八丁堀駅A3出口徒歩8分の歯科・審美歯科|NK dental TOKYO

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あなたの歯にもあるかも…歯のヒビの話

あなたの歯にもあるかも…歯のヒビの話|新富町駅2番出口徒歩3分・八丁堀駅A3出口徒歩8分の歯科・審美歯科|NK dental TOKYO

~マイクロスコープで見える真実と、無意識のクセ『食いしばり』のリスク~

こんにちは。NK dental TOKYO 院長です。

日々の診療の中で、患者様からよくこんなご相談をいただきます。 「冷たいものがしみるんですが、他院で診てもらってもむし歯はないと言われました」 「噛んだ時に、一瞬ピリッとした痛みが走ることがあるんです」

レントゲンを撮っても大きな影はない。歯ぐきも綺麗。 一見すると健康そのものに見えるその歯。しかし、私の経験上、こういった「原因不明の不快感」を訴えるケースの多くに、ある共通のトラブルが潜んでいることがあります。

それが、今回のテーマである『歯のヒビ(マイクロクラック)』です。

「えっ、歯にヒビが入っているんですか?」

そう驚かれる方がほとんどです。それも無理はありません。なぜなら、このヒビは肉眼ではほとんど見えないレベルの細かさだからです。しかし、この小さな亀裂こそが、将来的に歯を失う原因になりかねないリスクであることを、皆さんに知っていただきたいのです。

今回は、少し専門的になりますが、私の臨床経験に基づき、この『歯のヒビ』と、それを加速させる現代病『食いしばり(クレンチング)』について、じっくりとお話ししたいと思います。


1. 肉眼では見えない『マイクロクラック』の正体

まず、歯の構造について少し触れましょう。歯の表面は『エナメル質』という、人体の中で最も硬い組織で覆われています。水晶と同じくらいの硬度があると言われていますが、硬いということは、逆に言えば「衝撃で割れやすい」という性質も持っています。ガラスをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

毎日食事をし、噛み合わせることで、歯には想像以上の負担がかかり続けています。長い年月をかけて、硬いエナメル質には目に見えないほどの細かい亀裂が入っていきます。これを歯科用語で『マイクロクラック』と呼びます。

年齢とともに増える『歯の年輪』

正直に申し上げますと、マイクロクラックは誰にでもあります。 私たち人間も、年齢を重ねれば肌にシワができるように、歯にも経年変化としてのヒビが入ります。40代、50代と年齢を重ねるにつれ、マイクロクラックの数は確実に増えていきます。これはある種、歯が頑張って働いてきた証(年輪)のようなものであり、すべてのヒビが悪さをするわけではありません。

しかし、問題なのは『病的なヒビ』です。 通常の経年変化を超えて、深く、鋭く入ってしまったヒビ。これが、痛みやむし歯、最悪の場合は『歯根破折(歯が根元から割れる)』を引き起こす原因となります。

では、なぜ『病的なヒビ』が入ってしまうのか。 その最大の犯人が、無意識の『食いしばり』なのです。


2. 歯を破壊する無意識の力『クレンチング』

「歯ぎしりの自覚は特にありません。」

そうおっしゃる患者様は多いです。確かに、寝ている間にギリギリと音を立てる『歯ぎしり(グラインディング)』は、ご家族に指摘されて気づくことができます。

しかし、私がここで警鐘を鳴らしたいのは、音のしない静かな食いしばり、専門用語で『クレンチング』と呼ばれるものです。

気づきにくい『クレンチング』の特徴

 

クレンチングは、上下の歯をぐっと強く噛みしめる動作です。音がしないため、誰にも指摘されません。そして恐ろしいことに、日中の仕事中やスマホを見ている時、家事をしている時など、起きている間にも無意識に行っている方が非常に多いのです。

通常、リラックスしている時、上下の歯は接触していません。数ミリの隙間があるのが正常です。 しかし、ストレスを感じたり集中したりする場面で無意識に歯を接触させ、噛みしめてしまう。食事の時の噛む力は数キロ〜数十キロ程度ですが、無意識の食いしばりは、その何倍もの力が、長時間持続的にかかり続けます。

想像してみてください。硬いガラス(エナメル質)に、何十キロもの圧力を何時間もかけ続けたらどうなるでしょうか? 当然、ピシッと亀裂が入りますよね。これが口の中で起きているのです。

こんな症状はありませんか?

ご自身の歯を守るために、以下の項目をチェックしてみてください。

  • 『朝起きた時、顎がだるい、疲れている感じがする』

  • 『こめかみ(側頭部)や首筋に痛みや張りがある』

  • 『集中している時にふと気づくと、上下の歯が触れている』

  • 『舌の側面に、歯の跡がついている(波打った形になっている)』

  • 『冷たい水がしみる日が続いたと思ったら、治まることがある』

特に『朝起きた時の顎の疲れ』や『側頭部の痛み』は、就寝中にクレンチングを行っていた証拠である可能性が高いでしょう。側頭部は、噛むための筋肉(側頭筋)がある場所です。ここが痛むということは、寝ている間に筋トレをしているようなものなのです。


3. マイクロスコープがないと見えない世界

NK dental TOKYOでは、精密治療のために『マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)』を常用しています。 なぜなら、『歯のヒビは、肉眼や一般的な拡大鏡(ルーペ)レベルでは見落とすことが多いから』です。

レントゲンは『硬組織の状態』を写すもので、ヒビのような『微細な隙間』は、よほど大きく割れていない限り写りません。 「レントゲンで異常なし」と言われたのに痛い。この矛盾の正体はここにあります。

実際に、原因不明の痛みを訴える患者様の歯をマイクロスコープで拡大し、強い光を当てて観察すると、驚くような光景が見えてきます。 健康そうに見える白い歯の溝に、まるで稲妻のように走る鋭いライン。 染色液を使って染め出すと、そのラインがくっきりと浮かび上がります。

「うわっ、こんなにヒビが入っているんですか…」

モニターでご自身の歯の状態を見た患者様は、皆様絶句されます。 しかし、現状を『視る』ことこそが、治療の第一歩なのです。


4. ヒビを放っておくとどうなる?(むし歯の発生要因)

「ヒビが入っているだけなら、痛くなければそのままでいいのでは?」 そう思われるかもしれません。しかし、歯科医師としてそれはお勧めできません。

ヒビ(クラック)は、細菌にとっての『侵入経路』になります。

健康なエナメル質は、非常に緻密で細菌の侵入を許しません。しかし、ヒビが入ると、そこから毛細管現象によって唾液と共にむし歯菌(ミュータンス菌など)が歯の内部深くまで吸い込まれていきます。

『中から広がるむし歯』の恐怖

通常、むし歯は表面から穴が開いていきます。しかし、ヒビ由来のむし歯は、入り口は狭いのに、内部の柔らかい象牙質で爆発的に広がります。 表面は小さな点に見えるのに、中で大きく広がっている。これを『不顕性(ふけんせい)う蝕』と呼ぶこともありますが、ヒビが原因のこのタイプは、発見が遅れがちです。

「なんとなくしみる」を放置し、ある日突然激痛が走って来院された時には、すでに神経まで細菌が到達しており、神経を取らざるを得ない(抜髄)……というケースを、私はこれまで数え切れないほど見てきました。

さらに恐ろしいのは、ヒビが歯の根っこ(歯根)まで達してしまった場合です。 こうなると、もう歯を残すことはできません。抜歯となります。 「むし歯でもないのに、歯が割れて抜歯」 これは、歯科医師として最も避けたい、悔しい結末です。


5. NK dental TOKYOが提案する『早めの処置』と『MI治療』

脅かすようなことばかり書いてしまいましたが、安心してください。 『ヒビは、早めに見つけて適切に処置をすれば、トラブルを最小限に抑えることができます』。

当院が大切にしているのは、『MI(Minimal Intervention:最小侵襲治療)』、つまり「できるだけ歯を削らない」という考え方です。

削る量を少なくするための早期発見

ヒビが浅いうち(エナメル質にとどまっている段階、あるいは象牙質のごく浅い部分)であれば、大きく削る必要はありません。

  1. 『マイクロスコープによる確定診断』 まず、どこに、どの程度の深さのヒビが入っているかを正確に見極めます。

  2. 『接着修復(ボンディング)』 ヒビの部分をわずかに整理し、流動性の高い高性能な接着材(レジン)を流し込みます。これにより、ヒビを物理的に『封鎖』し、細菌の侵入経路を断ちます。同時に、ヒビがこれ以上広がらないように補強する効果もあります。

  3. 『クラウン(被せ物)による保護』 すでにヒビが深く、噛むたびに歯がたわんで痛むような場合は、歯全体を覆う被せ物(クラウン)を選択することもあります。これにより、歯が割れる方向への力がかかるのを防ぎ、「タガをはめる」ように歯を守ります。

「痛くなってから」ではなく「ヒビがある段階で」処置をすることで、神経を残せる確率は格段に上がりますし、ご自身の歯の寿命を延ばすことに直結します。


6. 『原因』へのアプローチも忘れずに

歯の処置をして終わり、ではありません。 そもそもヒビが入った原因である『過度な力(食いしばり)』をコントロールしなければ、別の歯にまたヒビが入ってしまいます。

当院では、歯そのものの治療と並行して、『力のコントロール』をご提案しています。

ナイトガード(マウスピース)

就寝中に装着するオーダーメイドのマウスピースです。 これをつけることで、ギリギリとかかる体重のような負荷を、マウスピースが削れることで身代わりに受け止めてくれます。歯そのものがすり減ったり、割れたりするのを物理的に防ぐ、最も確実な防御策です。

意識化指導

日中の『無意識の食いしばり』に気づくためのトレーニングです。 例えば、「パソコンの画面」「トイレのドア」「冷蔵庫」など、目につく場所にシールを貼ります。そのシールを見たら「あ、今、歯が触れていないかな?」と確認し、深呼吸をして肩の力を抜き、歯を離す。 これを繰り返すことで、脳に「歯は離しておくものだ」と再学習させます。地味ですが、非常に効果的です。

薬剤注射療法


咬筋(エラの部分の筋肉)が過剰に発達し、どうしても強い力がかかってしまう方には、筋肉の働きを弱める注射をご提案することもあります。必要以上の強い食いしばりを強制的に緩和させることで、歯へのダメージを減らし、顎の疲れや頭痛の改善も期待できます。
根本的な解決策になり、効果を最も実感できるのがこの治療法です。


最後に:あなたの歯を守れるのは、あなた自身と『ヒビを見逃さない顕微鏡(目)』です

歯のヒビは、初期段階では症状が乏しく、見過ごされがちです。 しかし、マイクロスコープという『目』を持ってすれば、それは明確なリスクとして捉えることができます。

「冷たいものがしみる」 「朝起きると顎が疲れている」 「詰め物がよく外れる」

これらはすべて、歯からのSOSサインかもしれません。 もし、心当たりがあるようでしたら、ぜひ一度、NK dental TOKYOにご相談ください。

私たちは、ただむし歯を削って埋めるだけの治療はいたしません。 なぜその歯が悪くなったのか、その背景にある『力』の問題や『生活習慣』までを見据え、マイクロスコープを駆使した精密な診査診断を行います。

10年後、20年後も、ご自身の歯で美味しく食事ができるように。 あなたの歯にあるかもしれない『見えないヒビ』を、私たちと一緒に見つけ、早めに対処していきましょう。

皆様のご来院を、心よりお待ちしております。

NK dental TOKYO 院長


NK dental TOKYO では 審美歯科・繰り返さない自費むし歯治療・パウダークリーニング・医療ホワイトニングでみなさまのお口の健康を維持するお手伝いをしています。お口の中の状態は人によってそれぞれですが、みなさまに合った最良のご提案をさせていただきます。
一度お口の中をしっかり診査して、将来の健康に目を向けてみませんか?
院長である私がみなさまのお口の健康を守り、しっかりとサポートさせていただきます。

〒104-0041 東京都中央区新富1丁目5−12 エスパシオ 4階


本記事のまとめ

 

  • 『マイクロクラックとは』: 肉眼では見えない歯の細かいヒビ。年齢と共に増えるが、病的なものはトラブルの元。

  • 『主な原因』: 加齢だけでなく、無意識の『食いしばり(クレンチング)』がヒビを加速・悪化させる。

  • 『セルフチェック』: 朝の顎の疲れ、側頭部の痛み、日中の食いしばり癖に注意。

  • 『リスク』: ヒビは細菌の侵入経路となり、内部からのむし歯や、最悪の場合は歯根破折(抜歯)を招く。

  • 『診断と治療』: マイクロスコープでないと発見困難。早期であれば削る量を抑えた接着修復が可能。

  • 『予防』: ナイトガードやTCH是正で『力』をコントロールすることが重要。

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